五輪開催地一覧!2026ミラノから2034年の決定都市と招致の内幕
世界のスポーツシーンの頂点として4年に1度、地球規模の熱狂を生み出してきたオリンピック。2024年のパリ夏季大会の興奮冷めやらぬ中、2026年にはイタリアのミラノ・コルティナ冬季大会が開幕を迎え、スポーツの祭典は新たな変革のサイクルへと突入しています。かつてのような「都市の威信をかけた過度な招致競争」から「既存インフラの活用と持続可能性」へと国際オリンピック委員会(IOC)の選考基準が大きく舵を切るなか、次代のホストシティがどのように選定され、どこへ向かっているのかは世界中のメディアやファンの最大の関心事です。
一方で、過去の大会を振り返ると、戦争による中止や自然災害に伴う開催地変更、さらには莫大な公金投入への反発など、時代の政治・経済・社会情勢がそのまま色濃く映し出されてきました。日本国内に目を向けても、1964年の東京、1972年の札幌、1998年の長野、そして記憶に新しい2020年東京大会と輝かしい歴史を刻む一方で、2030年冬季大会を目指していた札幌市の招致断念劇は、巨大メガイベントと市民意識の乖離という根深い課題を浮き彫りにしました。本稿では、歴代の夏冬大会の全記録から2034年までの最新決定都市、そして招致を巡る舞台裏の構造まで、取材データと公式記録をもとに余すところなく解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2026年ミラノ・コルティナから2028年ロサンゼルス、2030年フランス・アルプス、2032年ブリスベン、2034年ソルトレークシティーまで、向こう10年間の主要開催都市はすべて内定・決定済み。
- 要点2:IOCの選考基準は従来の「招致レースによる投票」から「将来開催地委員会による対話方式」へ激変し、巨額の招致費用や施設の新設を排した現実路線へシフト。
- 要点3:札幌五輪の招致断念は東京大会を巡る汚職・談合事件と財政不安による市民の不信感が決定打となり、今後は「市民合意」と「既存資産の再利用」が誘致の絶対条件となる。
【最新スケジュール】次回オリンピック開催地と2034年までの決定都市一覧
オリンピックの開催地選定プロセスは、アジェンダ2020およびニュー・ノーム(新規範)の導入以降、劇的なスピード感で先々の大会まで前倒し決定される時代に入りました。かつてのように開催7年前に総会の決選投票で争う構図は姿を消し、IOCとの密接な「戦略的対話」を通じて、財政的・環境的リスクの低い成熟都市が相次いで選ばれています。現在決定している2034年までの今後の五輪開催地スケジュールは以下の通りです。
| 項目(大会・開催年) | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 第25回冬季 ミラノ・コルティナ 2026 | イタリア(ミラノ、コルティナ・ダンペッツォ) 既存施設利用率:90%以上 分散型開催モデルを採用 | 従来は単一都市集中型が主流(新設負担が大半) | 広域分散型運営の実効性が試される試金石。移動負荷の軽減と持続可能性の両立が課題。 |
| 第34回夏季 ロサンゼルス 2028 | アメリカ(ロサンゼルス) 新設恒久施設ゼロ(既存競技場・大学寮の活用) 開催予算約69億ドル | 夏季大会予算:1兆〜2兆円規模の新設インフラ投資 | 1984年の黒字大会の成功体験を継承。民間資金主導による脱・公費負担モデルの最高峰。 |
| 第26回冬季 フレンチ・アルプス 2030 | フランス(オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏等) 2024年パリ総会で条件付き決定 | 冬季開催地選考の遅れが慢性化する中での早期決定 | パリ2024の組織運営ノウハウを即座に再利用。温暖化による天然雪不足対策が必須。 |
| 第35回夏季 ブリスベン 2032 | オーストラリア(クイーンズランド州ブリスベン) 新選考方式で11年前に最優先候補として単独内定 | 激しい決選投票レース(招致活動費:数百億円) | 長期的な都市交通基盤の整備と連動。過度なコスト増を抑え込み、豪州3度目の夏季五輪へ。 |
| 第27回冬季 ソルトレークシティー 2034 | アメリカ(ユタ州ソルトレークシティー) 2002年大会の全施設が現在も稼働中 市民支持率:80%超 | 冬季招致に対する市民支持率は欧米で40〜50%に低迷 | 圧倒的な施設維持力と住民支持が決め手。冬の気候変動下における「安全牌」としての指名。 |
このタイムラインが示す通り、次回オリンピック開催地を巡る議論はすでに2030年代半ばまで枠組みが固まっており、世界地図における開催拠点は「実績があり、既存資産を維持し続けているメガシティ」へと明確に偏在しつつあります。

【完全網羅】歴代夏季オリンピック開催地一覧と大会の変遷
1896年のアテネ大会から始まった近代オリンピックの歩みは、そのまま国際政治の荒波と文明の進展の記録です。歴代夏季オリンピック開催地一覧を俯瞰すると、単なるスポーツ競技の枠を超え、世界大戦による悲劇の中断や、予期せぬアクシデントによる開催都市の変更など、数々のドラマが埋め込まれています。
初期の大会では、1904年の第3回大会が当初のシカゴから「世界博覧会との同時開催」を理由にセントルイスへ変更された事例や、1908年の第4回大会において、当初内定していたローマ(イタリア)がヴェスビオ火山の壊滅的噴火による財政打撃を受け、急遽ロンドンへと代替開催された歴史があります。また、1916年ベルリン大会、1940年東京大会、1944年ロンドン大会の3大会は、第一次・第二次世界大戦の勃発により公式に中止(取りやめ)を余儀なくされました。
| 回 | 開催年 | 開催都市(国) | 特記事項・歴史的背景 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1896 | アテネ(ギリシャ) | 近代五輪の幕開け。14カ国241名が参加 |
| 第2回 | 1900 | パリ(フランス) | パリ万博の付属大会として開催。女子選手が初参加 |
| 第3回 | 1904 | セントルイス(アメリカ) | シカゴから変更。北米初開催 |
| 第4回 | 1908 | ロンドン(イギリス) | ローマでの火山噴火被害を受け急遽代替開催 |
| 第5回 | 1912 | ストックホルム(スウェーデン) | 日本が初参加(金栗四三、三島弥彦) |
| 第6回 | 1916 | ベルリン(ドイツ) | 第一次世界大戦により中止 |
| 第7回 | 1920 | アントワープ(ベルギー) | 大戦復興の象徴。五輪旗が初掲揚 |
| 第8回 | 1924 | パリ(フランス) | クーベルタン男爵の希望でパリ再開催 |
| 第9回 | 1928 | アムステルダム(オランダ) | 聖火台への点火が初実施。人見絹枝が女子初銀 |
| 第10回 | 1932 | ロサンゼルス(アメリカ) | 世界恐慌下で開催。選手村が初めて設置 |
| 第11回 | 1936 | ベルリン(ドイツ) | ナチス政権の国威発揚に利用。初の聖火リレー |
| 第12回 | 1940 | 東京(日本)→ヘルシンキ | 日中戦争のため返上、第二次大戦で中止 |
| 第13回 | 1944 | ロンドン(イギリス) | 第二次世界大戦により中止 |
| 第14回 | 1948 | ロンドン(イギリス) | 12年ぶりの再開。敗戦国(日本・ドイツ)は不参加 |
| 第15回 | 1952 | ヘルシンキ(フィンランド) | ソ連が初参加。東西冷戦の代理戦争構造が表面化 |
| 第16回 | 1956 | メルボルン(豪)/ストックホルム | 南半球初開催。検疫規定により馬術のみ別国開催 |
| 第17回 | 1960 | ローマ(イタリア) | 52年前の雪辱を果たす開催。アベベの裸足マラソン |
| 第18回 | 1964 | 東京(日本) | アジア初開催。新幹線開通など戦後復興を象徴 |
| 第19回 | 1968 | メキシコシティ(メキシコ) | 標高2,240mの高地大会。ブラックパワー・サリュート |
| 第20回 | 1972 | ミュンヘン(西ドイツ) | 選手村テロ事件によりイスラエル選手団ら17名死亡 |
| 第21回 | 1976 | モントリオール(カナダ) | 巨額負債が残り「五輪不況」の代名詞に |
| 第22回 | 1980 | モスクワ(ソ連) | ソ連のアフガン侵攻に抗議し日米など西側がボイコット |
| 第23回 | 1984 | ロサンゼルス(アメリカ) | 東側ボイコット。商業化に成功し初の黒字化を達成 |
| 第24回 | 1988 | ソウル(韓国) | 東西両陣営が12年ぶりに集結。韓国の民主化を後押し |
| 第25回 | 1992 | バルセロナ(スペイン) | 冷戦終結。米バスケ「ドリームチーム」参戦 |
| 第26回 | 1996 | アトランタ(アメリカ) | 近代五輪100周年。過度の商業主義への批判が噴出 |
| 第27回 | 2000 | シドニー(オーストラリア) | 「ミレニアム大会」。環境配慮と運営のスムーズさで高評価 |
| 第28回 | 2004 | アテネ(ギリシャ) | 発祥地へ108年ぶりの帰還。のちの財政破綻の一因に |
| 第29回 | 2008 | 北京(中国) | 中国の国力拡大を世界に誇示。鳥の巣など巨額投資 |
| 第30回 | 2012 | ロンドン(イギリス) | 史上初となる同一都市で3回目の開催。都市再開発に成功 |
| 第31回 | 2016 | リオデジャネイロ(ブラジル) | 南米大陸初開催。治安問題や施設放置問題が浮き彫り |
| 第32回 | 2020(2021) | 東京(日本) | 新型コロナ禍で史上初の1年延期・無観客開催 |
| 第33回 | 2024 | パリ(フランス) | セーヌ川開会式など名所を活用。持続可能性を前面に提示 |
日本オリンピック委員会(JOC)の公式資料や各種検証データからも明らかなように、20世紀後半の五輪は「国家威信の演出と経済成長の起爆剤」として巨大化の一途を辿りました。しかし、2004年アテネや2016年リオ大会で見られた施設の放置や財政負担は、五輪招致そのもののリスクを世界に知らしめる契機となったのです。
【雪氷の記憶】冬季オリンピック開催地年表と気候変動のリアル
1924年にフランスのシャモニー・モンブランで第1回が開催された冬季大会は、夏季大会とは大きく異なる宿命を背負って発展してきました。それは「安定した積雪と氷の確保」という気象条件への全面的な依存です。過去の冬季オリンピック開催地年表を辿ると、ヨーロッパのアルプス山脈、北米のロッキー山脈、そして日本の豪雪地帯へと開催地が循環してきた軌跡が浮かび上がります。
| 回 | 開催年 | 開催都市(国) | 主な出来事・記録 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 1924 | シャモニー(フランス) | 当初は「国際冬季競技週間」として開催され後に公認 |
| 第2回 | 1928 | サンモリッツ(スイス) | 日本選手団が初参加(スキー競技) |
| 第3回 | 1932 | レークプラシッド(アメリカ) | 世界恐慌の余波で参加国が急減 |
| 第4回 | 1936 | ガルミッシュ=パルテンキルヒェン(ドイツ) | アルペンスキーが初採用 |
| (中止) | 1940 | 札幌(日本)→ガルミッシュ | 日中戦争激化で日本が返上、大戦で中止 |
| (中止) | 1944 | コルティナ・ダンペッツォ(イタリア) | 第二次世界大戦により中止 |
| 第5回 | 1948 | サンモリッツ(スイス) | 中立国スイスで12年ぶりに平和の祭典が復活 |
| 第6回 | 1952 | オスロ(ノルウェー) | 冬季五輪で初めて首都が開催地となる |
| 第7回 | 1956 | コルティナ・ダンペッツォ(イタリア) | 猪谷千春が回転で銀メダル(冬季日本人初) |
| 第8回 | 1960 | スコーバレー(アメリカ) | 人工雪技術やコンピュータ計測が初導入 |
| 第9回 | 1964 | インスブルック(オーストリア) | 暖冬・雪不足に悩まされオーストリア軍が雪を搬送 |
| 第10回 | 1968 | グルノーブル(フランス) | カラーテレビ放送が本格化。マスコット初登場 |
| 第11回 | 1972 | 札幌(日本) | アジア初の冬季大会。70m級ジャンプで表彰台独占 |
| 第12回 | 1976 | インスブルック(オーストリア) | 米デンバーが住民投票で返上したため代替開催 |
| 第13回 | 1980 | レークプラシッド(アメリカ) | 「氷上の奇跡」。米アイスホッケーがソ連を撃破 |
| 第14回 | 1984 | サラエボ(ユーゴスラビア) | 社会主義国で初開催。後に内戦で施設が破壊 |
| 第15回 | 1988 | カルガリー(カナダ) | ジャマイカのボブスレー挑戦など話題が豊富に |
| 第16回 | 1992 | アルベールビル(フランス) | 夏季と同年に開催された最後の冬季大会 |
| 第17回 | 1994 | リレハンメル(ノルウェー) | 2年ずらしの単独開催へ移行。環境五輪として称賛 |
| 第18回 | 1998 | 長野(日本) | ジャンプ団体金、清水宏保の金など日本勢躍進 |
| 第19回 | 2002 | ソルトレークシティー(アメリカ) | 招致買収スキャンダル発覚、9.11直後の厳重警備 |
| 第20回 | 2006 | トリノ(イタリア) | 荒川静香がフィギュア女子でアジア初の金メダル |
| 第21回 | 2010 | バンクーバー(カナダ) | 先住民文化との調和。サイプレス山で深刻な雪不足 |
| 第22回 | 2014 | ソチ(ロシア) | 史上最高額(約5兆円)の巨費投入。後に国家ドーピング発覚 |
| 第23回 | 2018 | 平昌(韓国) | 羽生結弦連覇、小平奈緒金。南北合同チーム結成 |
| 第24回 | 2022 | 北京(中国) | 史上初となる夏冬同一都市開催。ほぼ100%人工雪運用 |
| 第25回 | 2026 | ミラノ・コルティナ(イタリア) | 2都市共同名義の初開催。コルティナは70年ぶり2回目 |
近年の冬季大会を巡る最大の懸念は、地球温暖化による「開催可能地の激減」です。国際研究機関の試算では、2050年までに過去の冬季五輪開催地のうち十分な積雪量を保てるのは半数以下に落ち込むと警告されています。2022年北京大会がほぼ100%の人工雪に頼らざるを得なかった事実は象徴的であり、IOCが将来的に「冬季五輪を寒冷地の固定都市間でローテーション開催する」構想を本格検討する動機となっています。

【選選定の裏側】開催地決定理由とIOC選考基準のパラダイムシフト
なぜ、かつてのように世界中を熱狂させた「開催地決定の瞬間(ジャック・ロゲ会長が都市名を書いた紙を掲げる光景など)」が見られなくなったのでしょうか。その決定打となったのが、IOCが2014年以降に推進した大改革「オリンピック・アジェンダ2020」と、それに続く選考プロセスの刷新です。
旧来のシステムでは、立候補都市が数百億円に上る巨額のプレゼンテーション費用を投じ、世界各地でIOC委員への猛烈なロビー活動を展開していました。その結果、2002年ソルトレークシティー大会招致にまつわる大規模な金銭買収事件や、東京2020招致を巡るコンサルタント会社への資金移動疑惑など、数々の腐敗の温床となってきました。さらに深刻だったのは、巨額投資に恐れをなした欧米の民主主義国家の都市が、住民投票によって次々と招致から撤退したことです。
この危機感を背景に策定された新たな開催地決定理由とIOC選考基準のコアは、以下の3点に集約されます。
- 「都市に五輪を合わせる」思想への大転換:かつてはIOCの競技要件に合わせて新規アリーナや選手村を建設させていましたが、現在は「既存のスタジアムや仮設施設を最優先で使用すること」が絶対条件とされました。2028年ロサンゼルス大会が新設恒久施設ゼロで乗り切る計画を立てているのはその象徴です。
- 「将来開催地委員会」による水面下の対話:公開投票による勝者・敗者の構図を撤廃。IOC内に常設された専門委員会が関心都市と非公開で持続可能性や財政計画を審査(Targeted Dialogue)し、条件が合致した「最優先候補(Preferred Host)」を理事会に一本化して提案する方式に変わりました。2032年ブリスベン大会はこの枠組みで異例のスピード内定を果たしました。
- 住民合意と気候変動耐性の厳格チェック:行政トップの熱意だけでなく、市民の支持率や議会の承認、そして将来の気象シミュレーション(特に冬季の積雪維持能力)が定量的に精査されるようになりました。
こうした構造変化は、巨費を投じて五輪を「都市の起爆剤」にしようとする新興国の台頭を阻む一方、すでに十分なインフラを持ち、巨額の追加投資を必要としない欧米・豪州の先進都市が選ばれやすくなるという新たなパワーバランスを生み出しています。
【実態検証】日本開催オリンピックの歴史と札幌五輪招致断念の真相
近代オリンピックの歴史において、日本は常にアジアの先頭を走ってきました。1940年の「幻の東京・札幌」を経て実現した1964年東京大会は、東海道新幹線や首都高速道路の整備と連動し、第二次世界大戦の灰燼から復興した日本を世界に知らしめる国家的モニュメントとなりました。続く1972年札幌、1998年長野大会も、北国の都市インフラを急速に近代化させ、ウィンタースポーツ王国としての日本の地位を不動のものにしました。
しかし、半世紀以上の時を経て開催された2020年東京オリンピック・パラリンピックは、日本の五輪観を決定的に変質させる転換点となりました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う史上初の1年延期、そして大半の会場での「無観客開催」。大会自体の現場ではアスリートの奮闘が胸を打ったものの、大会終了後に次々と明るみに出た組織委員会元理事を巡る受託収賄事件、テスト大会を舞台にした大規模な談合スキャンダルは、国民に極めて深い不信感を植え付けました。
その直撃弾を受けたのが、札幌五輪招致(2030年・2034年以降)の断念劇です。北海道新聞や地元報道機関が実施した世論調査では、当初過半数を超えていた招致賛成派が、東京大会の汚職発覚以降に急落。直前には「反対」「どちらかといえば反対」が6割を超える状態が定着しました。当時の札幌市長や財界幹部は「クリーンな大会運営」を掲げて挽回を図りましたが、市民が向けた視線は冷ややかでした。取材現場でも以下のような痛烈な生の声が溢れていました。
「東京であれだけの談合と中抜きを見せられて、なぜ札幌市民の税金を注ぎ込まなければならないのか」(札幌市在住・40代自営業)
「除雪費用の不足で生活道路がガタガタになっているのに、数千億円規模の五輪関連投資など到底納得できない」(札幌市在住・60代主婦)
市民の合意形成を完全に失った札幌市は、2023年秋に2030年招致の断念を表明。さらに2034年以降の冬季大会開催地としてソルトレークシティーやフランス・アルプスが事実上内定したことで、完全な撤退に追い込まれました。「市民の声を置き去りにしたメガイベント誘致は成り立たない」という厳しい現実を、日本社会は自らの手で突きつける結果となったのです。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|「立候補都市が消えた」五輪危機の正体
ネット上の言論やSNSでは、「五輪はもう世界中から見放され、誰もやりたがらないオワコンになった」という極端な言説が散見されます。しかし、この言説は半分正しく、半分は重大な事実誤認を含んでいます。
正しくない側面は、「都市側の関心そのものが完全に消滅したわけではない」という点です。事実、2036年の夏季オリンピックに向けては、インド(アーメダバード等)、トルコ(イスタンブール)、インドネシア(ヌサンタラ)、サウジアラビア、さらにはカタールなどが水面下で極めて意欲的なアプローチを継続しています。国力拡大や国際的プレゼンスの向上を渇望するグローバルサウス諸国にとって、五輪は依然として喉から手が出るほど欲しい巨大ブランドです。
では、なぜ「危機」と叫ばれるのか。その盲点は「民主主義国家における住民投票の壁」と「IOCが求める条件のミスマッチ」にあります。
- 誤解1:金さえ出せばどの都市でも開催できる?
現代のIOCは、新設アリーナを乱立させて後に廃墟化(いわゆるホワイト・エレファント化)させるプランを何よりも嫌います。そのため、財力だけで押し切ろうとする都市よりも、既存のインフラが完備された成熟都市(LAやパリ)を優先します。 - 誤解2:五輪を開催すれば必ず都市は経済破綻する?
1976年モントリオールや2004年アテネは致命的な負債を抱えましたが、1984年ロサンゼルスや2012年ロンドンは長期的な再開発と民間活力の活用でポジティブなレガシーを残しました。破綻するか否かは「大会後の施設運用計画が民間ベースで成立しているか」に完全に依存します。
【プロの結論】巨大メガイベントに都市が挑むべき判断基準
五輪招致を巡る構造を社会学および都市開発の観点から分析すると、これからの時代にメガイベントを「招致すべき都市」と「絶対に避けるべき都市」の境界線は極めて明確です。
【招致を検討してもよい都市の条件】:
- すでにプロスポーツリーグ等で使用されている国際規格のアリーナ・競技場が80%以上揃っていること。
- 交通網(地下鉄・空港)の拡張計画が五輪とは無関係にすでに予算化されており、五輪をその「完成期限の口実」として使えること。
- 住民に対する完全な情報開示と、独立した第三者機関による不正監視メカニズムが制度化されていること。
【招致を避けるべき・慎重になるべき都市の条件】:
- 「地域経済の起爆剤」という漠然とした経済波及効果に頼り、新設スタジアムの建設を計画している都市。
- 市民の支持率が世論調査で70%を下回っており、反対デモやリコール運動のリスクを抱えている自治体。
- 大会後の維持管理費(赤字補填)を自治体の一般財源から捻出せざるを得ない構造になっていること。
五輪はもはや「都市のブランドを一発逆転で引き上げる魔法の杖」ではありません。成熟した都市が、自らの既存資産を世界に披露するための「合理的なショーケース」として使いこなせるかどうかが、唯一の成否を分ける分水嶺となっています。
【オリンピック開催地一覧】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:次の夏季オリンピック、冬季オリンピックはそれぞれどこで開催されますか?
A1:次回冬季大会は2026年ミラノ・コルティナ大会(イタリア)です。次回夏季大会は2028年ロサンゼルス大会(アメリカ)で開催されます。その後も、2030年冬季フランス・アルプス、2032年夏季ブリスベン(オーストラリア)、2034年冬季ソルトレークシティー(アメリカ)とスケジュールが続いています。
Q2:日本で再びオリンピックが開催される可能性はありますか?
A2:極めて近い将来の開催は現実的ではありません。札幌市が2030年・2034年冬季五輪の招致から完全に撤退した上、東京2020大会を巡る汚職・談合事件により国民感情のハードルが非常に高くなっています。もし再挑戦があるとすれば、既存施設の大規模改修時期と重なる2030年代後半以降、あるいは2040年代以降の夏季・冬季大会が現実的な議論の対象となります。
Q3:なぜ最近のオリンピック開催地は決まる時期が以前より早くなったのですか?
A3:IOCの選考システムが抜本的に改革されたためです。以前は開催7年前に総会の決選投票で決めていましたが、招致競争に伴う巨額の費用や買収スキャンダル、住民投票による相次ぐ立候補取り下げを防ぐため、IOCの委員会が意欲と能力のある都市と個別に話し合い、迅速に一本化して内定を出す方式に変更されました。
Q4:同じ都市で何度もオリンピックが開催されることはありますか?
A4:はい、近年はむしろ「複数回開催都市」への回帰が顕著です。ロンドン(1908、1948、2012)とパリ(1900、1924、2024)がすでに3回の夏季五輪を開催しており、2028年のロサンゼルスも1932年、1984年に続く3回目の開催となります。冬季でもサンモリッツやレークプラシッド、インスブルックが複数回開催しており、2034年のソルトレークシティーも2回目のホストとなります。
まとめ:持続可能な五輪への転換点と今後の注目ポイント
近代オリンピックの歴史を振り返ると、開催地一覧の変遷は、世界平和の祈念、冷戦構造の影、新興国の国威発揚、そして商業主義の暴走といった時代の縮図そのものでした。そして2026年の現在、オリンピックは「際限のない巨大化と浪費」に終止符を打ち、いかに既存のインフラを活用し、地球環境と共生しながら市民に受け入れられるかという「持続可能性の極限テスト」に挑んでいます。
2026年ミラノ・コルティナが提示する広域分散型の運営モデル、2028年ロサンゼルスの完全民間主導・新設施設ゼロの挑戦、そして2032年ブリスベンが目指す長期都市計画との融合。これらが真の成功を収められるかどうかが、100年以上続いてきた近代五輪の次なる世紀を形作る決定的な羅針盤となります。単なるメダル争いにとどまらず、各都市が巨大イベントをどのように引き受け、未来のレガシーへと昇華させていくのか。その舞台裏の挑戦に、今後も鋭い視線を注ぎ続ける必要があります。 (出典: オリンピック 開催 地 一覧(Yahoo!ニュース))